はじめに
iPhoneを使用しているユーザーにとってお馴染みのSafariには、ITPと呼ばれる機能が搭載されています。
このITPが搭載されたことで、iPhoneユーザーはより快適なネットサーフィンができるようになりました。iPhoneユーザーは従来よりも便利で、プライバシーを守りながらSafariでネットを利用できるでしょう。
その反面、ITPの搭載は、Web広告に対して様々な影響を与えるとのことで一時期話題になったのですが、そもそもITPとは一体何なのでしょうか?
今回はITPについて解説します。
ITPとは?
ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは、iPhoneなどで有名なWEBブラウザのSafariに搭載されている機能のことです。
その機能の主な目的は、ユーザーのプライバシーの保護で、ITPは3rd Party Cookieを抑制することができます。
Cookieといえば、今までアクセスしたサイトの閲覧履歴などの個人情報の塊のような存在なのですが、3rd Party Cookieとはサードパーティーデータのやり取りをする時に送受信されているCookieのことを指します。
この3rd Party CookieをITPが抑制するとのことなのですが、それがどのように働いてプライバシーが保護されるのでしょうか?
サードパーティーデータというと、例えば、リターゲティング広告などがあります。
リターゲティング広告とは、スマホでWEBサイトを閲覧していると、よく画面の端や上、下などに表示される広告のことです。
まったく異なるWEBサイトを閲覧しているにも関わらず、常に同じような広告が表示されるのは、このリターゲティング広告がユーザーのCookieの情報を追いかけているからこそできる芸当です。
しかし、ITPが実装されると、Cookieの有効期限を一気に短縮することができます。Cookieの有効期限が切れてしまえば、Cookieの情報を知ることができませんので、ユーザーはリターゲティング広告に個人情報を渡さずに済みます。
ITPが搭載されているSafariでWEBサイトにアクセスすると、そのアクセスから24時間でユーザーを追跡できるCookieの情報を調べることができなくなるからです。
ユーザーが特定のWEBサイトにアクセスしたとしても、今までの行動記録を調べられずに済むので、プライバシーは保護されます。これこそがITPの主な特徴です。
ただし、今までの記録がすべて24時間毎に消えてしまっては、ログインデータなどが失われてしまうため、よく利用するWEBサイトに毎回自分でパスワードを入力しなければならず、面倒です。
そのような面倒を避けるためにも、ITPではログイン情報に関するCookieは30日間残るので、たとえITP機能搭載された後であっても不便なくネットを利用できます。
WEB広告に対する影響とは?
ITP機能はiPhoneユーザーにとって、メリットのある機能です。
ITPがあれば、今後はCookieの情報を外部に渡さずに済むので、プライバシーが保護されます。ただし、WEB広告業界からすると、ユーザーの過去の行動がわからなくなるため、広告の配信や、市場調査に悪影響が出ると懸念されています。
特に、リターゲティング広告やリマーケティング広告の分野では、これはかなり厄介なデメリットでしょう。
ITP機能によってユーザーの過去の行動記録がわからなくなると、今までのようにユーザーが求めている広告を配信できず、制限されてしまいます。
他にも、コンバージョンを測定できないなどの弊害があります。ITP機能が搭載されると、24時間以内のコンバージョンしか測定できず、それ以降は不明になってしまいます。
もっとも、ITPはSafariに搭載されている機能であり、それ以外については搭載されていません。そのため、Safari以外のユーザーであれば、従来通りリターゲティング広告を配信できますし、24時間以降のコンバージョンも測定可能です。
これはあくまでSafariに限った話なのです。
普段より、Safariユーザー以外からのアクセスが多いWEBサイトであれば、特に気になるデメリットではないでしょう。
その反対で、サイトの訪問者の多くがSafariユーザーだというWEBサイトの場合、ITP機能はなかなか厄介なデメリットとなるでしょう。
ITP機能への対策は?
iPhoneは、日本で最も浸透しているスマートフォンです。それだけに、Safariユーザーに対して広告を配信できないばかりか、コンバージョンを測定できないとなると、WEBサイトとしては死活問題となりかねません。
では、どのような対策が求められるのでしょうか?
ITPへの対策として、まずGoogle Adwordsがコンバージョントラッキングの仕様を変更することになりました。
この変更により、Google Analytics のCookieに広告クリックの情報を保管することができるようになったため、たとえITP機能があったとしても、24時間が経過した後のコンバージョンであっても測定することが可能です。
Google Adwordsに限らず、各社がITPへの対策として今後は3rd Party Cookieを使用しない、別のやり方でコンバージョンを測定する方法を模索しています。
他にも、3rd Party Cookieではなく、ユーザーが使用しているブラウザのバージョンやアドレスなどの情報を組み合わせ、そのユーザーが誰なのかを特定するブラウザフィンガープリントという技術で対抗するという方法があります。
ITPが発表された当初こそ、どのような影響が出るのか、対策をどうするかで一騒動がありましたが、2018年現在においては、ほとんどの企業がITPへの対策を完了させています。
対策の具体的な方法は企業によってそれぞれ異なりますが、それぞれの方法で新しい広告効果の計測システムを完成させつつあります。
ただし、Apple社の方針としては今後もITPをバージョンアップさせるとのことで、ユーザーのプライバシーを保護するための機能がこれからも追加されることでしょう。
今後も新しい機能が追加される可能性はとても高く、Safariで新しい変更がある度にWEB広告業界では対策を求められるでしょう。